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心を強くする言葉

2006.07.16 Sunday | 癒された言葉・名言

 
 
人は人生の途上で、必ず「傷つく」「傷つけられる」場面に遭遇する。

傷ついた心を癒すことは大切だ。

しかし、傷つきやすい心を強くしていくことこそが、実は最大の癒しなのかもしれない。

わたしの好きな、「心を強くしてくれる言葉」を、いくつか集めてみた。


 



鳥が卵から無理に出ようとする。
卵は世界だ。
生まれ出でようとする者は、一つの世界を破壊せねばならぬ。
鳥は神の元へ飛んでいく。

(マックス・デミアン/『デミアン』)
デミアン


説明するまでもない、ヘッセの名作。その中で一番好きなのが、この言葉。
人は、自分自身のちっぽけな世界に安住していては、そこから飛び立つことはできない。
ゆえに、自分自身が変わるために、そして真の高みに到達するためには、今の世界を破壊しなければならない……
それは恐怖であり、苦痛であるが、しかしそのプロセスを経ない限り、新しい自分は登場できないのだろう。
ついでに、同作品からもう一つ、好きな言葉をあげておきます。



我々がある人間を憎む場合、
我々はただ彼の姿を借りて、
我々の中にある何者かを憎んでいるのである。



これもなんだかすごい。確かに、「馬鹿」とののしられたときに、怒る人もいれば、悲しむ人もいれば、発言者に対して「馬鹿を相手にしたら自分も馬鹿」と無反応の人もいる。
同じ人の同じ言葉に対して、百人が百人、それぞれ別の受け取り方をするのは、相手ではなく、自分の内側に、相手の行動を意味づける“何か”があるからだろう。






今の世界を失っても
居心地のいい場所を捨てても、
求めるものを追う。
失うものの重さも辛さも分かってて、それでも欲する
そのために生きる。
そういうのが本当の覚悟。

(壱原侑子/『xxxHolic』)
XXXHOLiC 8 (8)



xxxHolicは、ほとんど宗教書という感じがする。心を直撃するような名セリフが多い。そのほとんどすべては侑子さんの言葉だが、やはり超自然的な力を持っていて、かつ悟っている人というのは、ものの見方、視点というものが、普通の人間とまったくちがうのだろう。より高いところから、世界を見下ろしているというか……。
視点の違いといえば、雨童女の



人間は尊きものを助けてくれないのに、
どうして尊きものが人間を助けなければいけないの?



というセリフも、なるほどと思わされてしまった。






人間って、不幸の競争をしてしまうわね。
自分が一番可哀想だと思うのは、
自分が一番幸せだって思うことと同じぐらい気持ちいいことなのかもしれない。
自分を哀れんで、他人を怨んで。

(祥瓊/『風の万里 黎明の空』)
風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート

かの十二国記シリーズより、思わず納得する一言。
いくら傷ついたとしても、こんな「不幸中毒」には、なりたくない。






人生とは、失うことだ。

星の時計のLiddell (1)
星の時計のLiddell (3)


かなり昔の漫画。誰のセリフか忘れてしまったけれど、この言葉だけは心に残っています。
失うことを知って、人は強くなれるのだ――と思う。






上へ行くのさ。他に道はないんでね。

(ブギーポップ/ブギーポップ・オーバードライブ歪曲王

ブギーボップのシリーズも、『xxxHolic』同様、“宗教書”という印象がある。
ちなみに、わたしは個人的に、劇中に出てくる謎の世界的組織“統和機構”とは、人間の煩悩、欲望といったものの象徴、あるいは、欲望主義ともいえる現在の社会システムを維持するものの象徴であり、逆に統和機構の敵としてのMPLSは、欲望を超えて解脱に至ろうとするものの象徴なのではないか、と思っている。
このように考えると、この物語の「わけのわからない部分」を、意外とすっきり読み解くことができるのだ。
(もしそうなら、ブギーポップのシリーズはそのまま、SFファンタジーの体裁をとった、神と悪魔との戦いの絵巻――ということになるのだろうか)
MPLSであり、統和機構の“天敵”であるリキ・ティキ・タビが、(煩悩を滅し解脱を目指す)チベット僧のスタイル、というのも、そのへんの象徴性を意図的に織り込んでいるのではないかと思われる。






つまり、死は生に先行するんだ。
死は生きることの限定なんだ。
俺達には厳粛に生きるための厳粛な死が与えられていない。
だから俺が死んでみせてやる。みんなが生きるために。
いいか、よく見てろよ。――これが死だ!!


(三上恭一/『台風クラブ』)
台風クラブ

相米慎二の傑作、「台風クラブ」より。
わたしがこれを見たのは中学生か高校生の頃だったと思うが、このセリフだけは今でも忘れることができない。
“死”を知ってはじめて“生”を知ることができる。
エヴァンゲリオンのカヲル君ではないが、本当に「生と死は等価値」なのかもしれない。
しかるに現代では、一方の極である“死”を見ることがなく、
故に善き“生”も得難い。
仮面ライダー響鬼にも、次のようなセリフがあった。



「死を意識する。そうすれば、おのずと生きる意味がわかってくるよ」

(響鬼/「仮面ライダー響鬼」)
仮面ライダー響鬼 VOL.12






今生の希望……それは全て打ち砕かねばならない。
絶望の側に落ちたとき、人は真の希望で己を救うことができると。

(加賀美陸/仮面ライダーカブト

これは先ほどの、「台風クラブ」のセリフに通じるものがある。
死を知って、生を知る。
同様に、絶望を知って、希望を知る。
人間の認識は相対的だから、ブランコが前に大きく振れるためには、後ろにも大きく振れなければならない。
そう考えるなら、絶望とは単純に悪いことではないのだろう。
そういえば、坂本真綾の「ヘミソフィア」という歌にも、こんな一節があった。



無意識に刻まれていく経験のタトゥー
崖っぷちに立たされたとき
苦難がぼくの腕をつかみ
自分自身の在処がはじめて見えたんだ

(「ヘミソフィア」坂本真綾)
ラーゼフォン - ヘミソフィア





趣向に少し(かなり?)偏りがあったかもしれませんが、今夜はとりあえずこの辺で。




 
author : clover | comments (0) | trackbacks (450)

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